関東地方の最東端に位置し、“日本で一番早い日の出”が見られるという千葉県銚子市。犬吠埼灯台や名物・ぬれ煎餅などが有名ですが、9月28・29日に「銚子ST100mileフットレース」が初開催されました。どんな大会となったのか、その様子をスタッフとして参加した視点からご紹介します。

■思いがけない暑さと戦う前半戦

スタートは朝9:00、制限時間は32時間という本大会。100mile(=160km)という距離を、オーバーナイトランを含め走ります。初開催ということもあり小規模ではありますが、会場である銚子スポーツタウンには、まさしく“猛者”と呼ぶに相応しいランナーが集まりました。ほぼ給水所などを設けない自給自足型の大会ということで、皆さん補給食などを入れたバックパックを背負っています。

当日は直前まで雨予報が心配されましたが、幸いにも天候に恵まれました。青空の下、準備を整えたランナーがスタートの号砲を待ちます。なお、大会はまず銚子及び近隣エリアを70km走り、再び銚子スポーツタウンへ戻ってきます。その後、再び今度は茨城県方面へと向かい、東国三社を巡るというコースです。

スタート後、皆さん様子見といった感じにゆったりと走り始めました。仲間との参加、あるいは知り合いがいたランナーもいらっしゃり、笑顔で会話する姿も。今回私はスタッフとして第1CP、そして前半・後半のスイーパーを担当させていただきました。そのため全容とはいきませんが、各所からの様子を写真と共にご紹介します。

大会では「K-SOK」という計測システムを使用し、ゴール含め6箇所に関門を設けて通過チェックを行いました。自給自足のレースではありますが、チョコレートと塩飴、そして水が用意されています。第一関門は約33km地点。ランナーの到着を待っていると、どんどん気温が上がり始めていきます。

 

昼過ぎ頃から、少しずつランナーが到着し始めました。皆さん既に汗だくで、思った以上の暑さに苦しめられている様子です。中には途中で氷を購入し、持ち運びつつ解けた氷水を飲んでいる方も。恐らく多くのランナーが、この前半戦でかなり体力を削られたのではないでしょうか。しかしトップ選手は「さすが」の走りで、チェックポイントでもほぼ休まず、すぐ先へと進んでいきます。

約45km地点の第2関門では、最終ランナーが訪れる頃になると既に辺りが暗くなり始めていました。日が沈んだ分だけ涼しく走りやすい一方、今度は暗闇の中を走るという困難が待ち構えています。やはり暑さが予想外の壁となったのか、皆さん前半にも関わらず疲労の表情が。加えて前半は銚子ドーバーラインを始めアップダウンが多いため、心身とも疲れが出始めていたようです。

それでも皆さん、一休みしつつ快調に先へ向けて走り始めていきます。参加者の皆さんにとっては、45kmなんて“始まったばかり”なのでしょう。印象的だったのは、本大会で3組いらっしゃった夫婦ランナー。お互いに声を掛け合いながら一緒にゴールを目指す姿、とても素敵な光景でした。

最終ランナーが犬吠埼に到着する頃、すでに周囲は真っ暗闇に包まれていました。ランナーはハンドライトやヘッドライト、そして後ろにバックライトや反射板を装着して進みます。

一面に広がる海…は見えませんでしたが、夜だからこそ見られる光景も。真っ白な犬吠埼灯台がライトアップされ、暗闇でひときわ目立っています。昼間とは違うその姿に、足を止めて撮影するランナーも多かったことでしょう。私も夜に訪れるのは初めてだったので、目の前まで行って写真におさめておきました。

前半戦とはいえ70km近くを走れば、誰だって疲労が蓄積していきます。信号ストップを休憩として、ストレッチしたり水分補給したり。しかし、まだまだランナー同士で会話を楽しむ余裕も。こうしたランナー同士の交流も、超長距離レースの楽しみの一つと言えるのかもしれません。同じゴールを目指す者同士が会話を交わすことで、気持ちが奮起するのではないでしょうか。

 

 

そして、前半70kmをゴール!残念ながら力を出し尽くし、ここでリタイアするランナーもいたようです。しかし前半は、全員が無事に銚子スポーツタウンへと到着しました。ここでは荷物が預けられるため、補給したり着替えたり、中にはシャワーを浴びてリフレッシュする方も。こちらも関門になっていて、0:00までにスタートする必要があります。しかし23:00を過ぎる頃には、先へ進むと決めたランナーが全員リスタートし、後半戦へと走り出していました。

■オーバーナイトランを経てゴールへ!

本大会は100mileだけでなく、前半の70kmコース、後半の90kmコースのみの部門も設けられています。すでに100mile選手はリタイア者を除き全員がコースに出た中、0:00になると後半90kmの参加者がスタート。東国三社を巡ってのオーバーナイトランが始まります。

 

夜が明けて移動を始めようとした矢先。32時間という制限時間の中、トップ選手が約22時間という速さでゴールしました。運営側がゴールテープの用意などアタフタするほど、予想外の速さに驚きです。しかも選手の表情には余裕があり、さすが“初代王者”の風格があります。これから10時間、まだコース上でゴールを目指すランナーが、一人、また一人とここに戻ってきます。

スイーパーを務めるべくコースを逆走して最終ランナーのもとへ向かうと、途中で何名かのランナーに出会えました。中にはすでに脚が“売り切れ”状態で歩いている方もいるものの、気持ちは元気で笑顔を見せてくれます。とても、不眠不休で夜通し走ったとは思えないほど。「ウルトラマラソンは気持ちが大切なのだ」と、改めて痛感させられました。

私が最終ランナーに追いついた頃には、すでに残り20kmほど。しかし既に140kmを走り終えたランナーは、苦しい“自分との闘い”に突入していました。暑さにやられて体調不良を感じていたり、走りたくとも脚がまったく動かなくなっていたり。私には声を掛けることしかできませんが、その視線は常にゴールへと向けられています。

走れない…ならば歩けばいい。とにかく前だけを見続け、ランナーは自身の限界へと挑戦していきます。看板などで「銚子」の文字が出始めると、ゴールが近いことを実感するのか、少しだけ気持ちに余裕が生まれるようでした。中には、銚子を始めて訪れたという方も多かったことでしょう。見知らぬ道を、ただひたすらゴールだけを目指して進み続ける。決して人通りの多い地域ではなく、ときにほどんど人通りのない場所もあったはずです。

「実は70kmまでしか走ったことがない」

後半90kmコースに出場した、最終ランナーが教えてくれました。70kmを過ぎた時点から、すでに自己最長距離への挑戦が始まっています。他にも初めての100mile挑戦、初めてのオーバーナイトラン挑戦という方もいました。きっと参加者それぞれ、一人一人にドラマがあった大会ではないでしょうか。

そして30時間を少し過ぎた頃、ついに最終ランナーがゴール!会場で待っていたスタッフの皆さん、そして選手の応援に訪れた方々が拍手で迎えています。選手自身は満身創痍で、ゴールの写真撮影に手を挙げるのが精一杯という様子でした。

選手用の休憩所を見てみると、疲れ果てて眠っている方々も。残念ながら途中リタイアとなった選手も含め、きっと自分たちの力を出し尽くしたのでしょう。とにかく初開催の大会、大きな怪我や事故など無く終えられたとのこと。運営側も、次に繋がる大会になったのではないかと思います。

次回開催は未定ですが、ご興味のある方はぜひ第2回大会への参加を検討してみてください。なお、銚子スポーツタウンでは本大会以外に、銚子をぐるりと1周走る約46km(制限8時間)の「銚子まるごとマラニック」も開催されています。こちらは年明け、2020年1月19日(日)の開催です。詳しくは、以下公式ホームページをご覧ください。

銚子スポーツタウン RUNNING SERIES