噂のトレイルシューズ『HOKA one one』その履き心地は?
トレイルランナーの中で密かにブームを起こしている、『HOKA one one』というシューズをご存知でしょうか?2013年のUTMF(ウルトラ・トレイル・マウント・フジ)で優勝した原選手が履いていたことは、記憶に新しいところです。しかし一見すると、
「本当に、これで速く走れるのか?」
と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。実際、私もそう思っていました。特に私の場合、どちらかと言えばルナサンダルやVibramなど、“薄さ”に特徴のあるシューズを好んで利用していたため、かなり懐疑的だったんです。
そこで今回、実際にHOKA one oneを履いてレースに出走した使用感をお伝えしたいと思います。
■多くのウルトラマラソンランナーも愛用
HOKA one oneとは縁遠かった私がこのシューズに興味を持ったのは、2014年1月に開催された『沖縄本島1周クレージーラン』がキッカケ。60時間制限で文字通り沖縄本島を1周するというレースですが、このレースに出場していた多くのウルトラマラソンランナーが、HOKA one oneを履いていたのです。
そこで「これは試したみるか!」と、さっそく東日本橋にあるRun boys!Run girls!さんへGO!私が購入したのは、トレイルもロードもOKという『HOKA one one Bondi2』です。グレー&イエローの色具合も、落ち着きが合ってなかなかGood。しかし実際に手に取ってみると、やはりそのソールの厚さには驚きました。
「いきなりレースはやめた方が良いですよ。結構、履きなれないと危ないです」
と店員さんにアドバイスを受け、2週間ほど履き慣らしました。思っていたよりしっくりきて、慣れるのは早かったと思います。ただ、確かに普段より足が高い位置にあるので、下り坂や山道では、着地に失敗して怪我をしてしまう可能性もありそう。購入される方は、くれぐれも試用を忘れずに。
■実際にレースで履いてみた
履いてみたところ、さすがにフルマラソンなどスピードレースには向いていない(というか、ソールの薄いシューズの方が早い)という感じ。しかし、脚にかかる負荷がやはり軽減されているような気がします。そこで、実際に履いてみたのは以下の2レースです。
- 沖縄本島1周T.O.F.R(3日間・約290km)
- 小江戸大江戸200k(36時間・203km)
幸いにも、両レースとも雨が降りました。乾いたロード、そして濡れたロードではシューズの着地感覚など違いますので、検証には最適です。
実際にウルトラマラソンを走ってみて感じたメリットは、
- 下り坂は身体を前傾にするだけでグイグイ押される感じ
- 着地衝撃がかなり軽減されるので、脚に疲労感をあまり感じない(疲労を感じるタイミングが遅い?)
- 足全体を包み込まれているような安心感がある
- 雨でもソールが厚いため、水たまりなどでも浸水が少ない
逆にデメリットは、
- 登り坂は少し脚が重たく感じる(シューズが重いわけではない)
- 下り坂でスピードを出し過ぎると着地が不安定になることがある
- クッションによる反発が大きいので、身体を前傾にしないと上に跳ねてしまう
といったところでしょうか。
レース結果は置いておいて、とりあえず検証した2レースでは、大きな怪我もなくレースを終えることができました。雨の中を走りましたが、こちらはダークカラーなので汚れも目立ちません。(HOKA one oneは、全体的に明るめのカラーが多いようです)
■まとめ
100kmまでのウルトラマラソンであれば、正直これまでのシューズと迷います。が、100kmを超えるようなウルトラマラソンであれば、HOKA one oneのメリットは大きい気がします。100kmは「完走目的」ならHOKA one one、「記録を狙う」ならもう少しソールの薄いシューズでも良い…といったところでしょうか。やはり同じ速度でも、例えば5:30/kmを切るようなペースの場合、HOKA one oneの方がスピードは出しづらい感じがします。
トレイルは試していませんが、「下りは怖い」と感じる方にはお勧めできないかも。どうしても普段のシューズと着地感覚が異なるので、足首を捻るなど怪我の恐れも否定できません。もちろん、これは慣れることで回避できるのだと思います。
あくまで個人的な感想になるので、感じ方は人それぞれだと思います。
最近はさまざまなコンセプトのシューズが各社で発売されていますが、ウルトラマラソンやトレイルレースを走る方なら、1つの選択肢として考えてみても良いかもしれません。
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