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長く・速く走るための「太極拳×ランニング」メソッド|チーランニング・ワークショップ

世の中には、実にさまざまなランニングメソッドがある。書店に足を運べば、実に多くの入門書などが見つかるだろう。そんな中、あまり聞きなれない言葉が…。

『チーランニング』

というものを、ご存知だろうか?

まだ国内では実践しているランナーが多く無いので、初耳という方がほとんどだろう。インターネットでこの言葉について調べると、見つかったのは『無理なく走れる“気”ランニング』という1冊の本。さらに調べていくと、2014年3月16日、東京都の皇居でチーランニングに関するワークショップが行われることを発見!

ワークショップを開催しているのは、中島貴裕(なかじま たかひろ)さん。では一体どんなメソッドなのか!?そのワークショップに潜入してきた。

◼︎他のスポーツとランニングの大きな違い
まさに「ランニングブーム」と言えるほど、今はそこら中にランナーが見られる。今回のワークショップは皇居で朝8:00から行われたが、やはりそこにも数多くのランナーがいた。

チーランニング(レクチャー)しかし、そんなランナーそのほとんどは、学生時代から走っていたワケでは無いだろう。キッカケは様々ながら、大人になって走り出した方は多いはずである。では、いざランニングを始めようとしたとき、何をするか?恐らく9割以上の人は、「とにかく走る」ことに注力するのではないだろうか。

「ほとんどの方はすぐに“走る”という実践を始め、レースに出場します。つまり皆さん、体力的なトレーニングにばかり取り組むんですよね。」

という中島さんの言葉は、確かにその通りだろう。トレーニングの指標として“月間走行距離”がよく取り上げられているのは、その証拠と言えるだろう。しかし、ここで少し考えてみてほしい。

「では、他のスポーツなら?例えばテニス。いきなりラケットを買って、すぐ試合に出る人はいません。握り方など基礎を学び、細かな技術トレーニングを経てから、試合へと挑むはずです。ランニングにも、そうした“技術”があります。それを知らずにとにかく走るから、実際に故障してしまうランナーが多い。故障すれば走れなくなり...と、悪循環に陥ります。」

これには、耳の痛いランナーもいるはず。実際に私も頻度こそ少ないが、怪我で走れないという期間を何度か経験している。“走る”という行為そのものは、誰にでも出来るだろう。そのことが、ランニングをすぐに実践できるものであると錯覚させてしまっているのかもしれない。

◼︎チーランニングとは?
ここで、そもそもの話に戻ろう。

「チーランニング」とは、一体何なのか?

恐らく、多くの方が疑問に思っているはずだ。ワークショップでは、まずその基本となる考え方からレクチャーがあった。それによれば、人間が走ることによって必ず受ける以下“2つの力”を上手く活かし、長く・速く走れる方法なのだという。

  • 重力
  • 地面がこちらに向かってくる力

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後者については、トレッドミルをイメージすると分かりやすいかもしれない。進むということは、反対に見れば地面が自分の方に向かってきているわけです。(地球の自転の話ではありませんよ!)

「この力に対し、大切なのが“力の調和”です。例えばボクシングの場合、パンチはガードして受けます。そうすると、衝撃や痛みが伴いますよね。しかし太極拳では、向かってくる力を受け止めるのではなく、同じ力を反対側に働かせて受け流すんです。」

パンチをされた際に、同じ速さで掌を引きながら受け止めてみて欲しい。掌に衝撃は無いはずだ。

「ランニングも同じ。力と上手く調和すれば、脚は疲れないし痛まないんですよ。それが、チーランニングです。」

中島さんによれば、チーランニングを実践すれば、次のようなメリットが得られるとのこと。

  • 脚が疲れず、長く走り続けられる
  • 長く走れるようになると、自然とスピードも上がる
  • 故障などしなくなる

多くのランナーにとって、これは大きな恩恵ではないだろうか。しかし「本当に、そんなことあるのか?」と、懐疑的な意見も聞こえてきそうだ。そして、具体的な実践によるワークショップへと移っていく…

◼︎ワークショップのポイント

ワークショップは中島さんから言葉によるレクチャーを受けた後、いよいよ実践へと入っていく。今回のワークショップでは、事前に4つの構成で行われていくという説明があった。

  1. 姿勢
  2. 前傾
  3. 脚の使い方
  4. 腕の使い方

実は取材で伺ったにも関わらず、中島さんのご厚意で私もレクチャーを実際に受けさせていただくことができた。この4つは、正直言って「その意識は当たり前だろう」というものだと思う。しかしレクチャーを受けることで、その当たり前がいかに出来ていなかったのかを、痛感することになった。

詳細な指導内容を記載することはできないが、いくつかポイントだけお伝えしよう。


<姿勢>

チーランニング(姿勢)一度鏡の前に横向きになって立ち、自分の中で「まっすぐだ」と思える姿勢をしてみてほしい。私も普段から多少姿勢には気をつけていたが、それがいかに崩れた立ち方なのかを、ワークショップで知ることになる。

姿勢で気をつけるべきは『アライメント』。自動車で車輪の向きを整える際などに使われる言葉だ。つまり、まずは身体全体のアライメントを整えることが始まり。脚の向き、頭の高さ、そしてコアの状態に至るまで、中島さんから徹底的に指導を受ける。

ひと通りレクチャーを受けた後、まずこれまで通り立った状態で、中島さんが思いっきり肩を地面へグッと押し付けた。その瞬間、背中がしなり若干の痛みさえ感じたのだが、その後が驚きだった。今度は教えてもらった通りの姿勢を作り、再びグッと押してもらった。すると全く身体に衝撃はなく、むしろ「本当にさっきと同じ力で押し付けているのか?」と思えるくらい、下半身にもまた負担がないのである。

<前傾>

チーランニング(歩行)姿勢が出来たところで、今度は前傾のトレーニング。この前傾は、「重力と身体を調和させる」のに最も重要だ。そこで、実際に歩行しながら前傾の基礎を覚えていく。ここで大切なのが「足首の使い方」と「4つのギア」である。足首をどう使って進むかが、そのまま脚(特に脹脛)に疲労をためないコツなのだと感じた。そして前傾の確度によってギアを切り替え、走るスピードが上がっていく。

ここでは先の姿勢を基本としながら、実際に歩行することでそのメソッドを体感していった。

<脚と腕の使い方>

一本歯下駄基本の動きが出来るようになったら、いよいよ“走る”トレーニングへの移行。ここで、驚きのアイテムが飛び出した。それが、この『一点歯下駄&一本歯下駄』である

そう、まず脚の使い方では、この下駄を履くのである。実はトレーニングの一部として、私は一本歯下駄をすでに持っている。しかし中島さんがオリジナルで制作したという一点歯下駄は初めての体験。いざ履いてみると、左右にもバランスが悪く非常に歩きにくかった。

下駄を履いて姿勢を整え、走る。最初はぎこちなかったその動作が、自然と出来るようになっていくのは嬉しい。

「そこで、すぐ靴で走ってみて!」

そう言われて靴に履き替え、同じ感覚で走ってみる。

「素晴らしい!全然変わったよ」

中島さんからそう言われると共に、自分でもその変化を実感していた。私が実際に感じた変化は、まとめると次のような点である。

  • 脹脛が一切疲れない
  • 脚に掛かる負担が少ない
  • 体全体が軽い
  • 前傾を強めると、止まらなくなるほどスピードが自然と上がる

裸足ランニング

私はあくまで中立的な立場からこのワークショップへ取材に訪れたが、自分でも驚く実感である。

なんだか楽しくなり、1つ実験してみた。今度は、裸足でアスファルトを同じように走ってみたのだ。普段から裸足ランニングを取り入れているが、アスファルトでのランニングは芝生やタータンと比べどうしても衝撃が大きい。しかしチーランニングで脚への負担が少ないことを感じたため、それを自らの肌(=脚の裏)で試してみようと思ったのである。

これが、試してみて正解だった。小石などの刺激こそ当然あるが、走ることで脚に重さを感じることはなく、スタスタと自然に走れた。これは、個人的にも思わぬ収穫である。

最後に腕。大振りにならないよう腰より高い位置までたたみ、小さく動かす。腕を伸ばした状態と比べると、同じ速さで腕を振るのに掛かる負担は明らかだ。腕から腰、そして脚へと力が連動することで、さらに走りやすくなった。


このようにして、チーランニングのワークショップは展開していった。2時間にわたるワークショップだが、あっという間に過ぎていく。恐らく中島さんからすれば、ここで教えてくれたことは初歩の初歩なのだろう。

◼︎たった2時間で大きな変化

チーランニング(動画確認)実はワークショップの最初、実際に“普通に”走った動きを撮影していた。そしてワークショップ後、教わったメソッドを意識して走り、2つの動画をスマートフォンで比較してみたのである。

もちろん、私も同様に撮影してもらった。

最初の動画は、正直に言ってショックだった。少なくともフォームの大切さは理解していたし、自分なりに気をつけていたつもりだったからである。しかし、あんなに酷いとは…。

しかしワークショップ後のそれは、その面影すら残さぬように改善されていた。その改善点は、大きく分けて次の3点だ。

  • 無理なく前傾が維持できている
  • 上下運動が少ない
  • 身体に重さを感じない

Before&Afterをここまで実感したワークショップは、初めてかもしれない。もちろん、何も意識せずこれからを過ごせば、すぐに忘れてしまうのだろう。

「チーランニングは、日常生活でトレーニング出来ます。普段の歩行や座位などで基本姿勢を意識すれば、それが自然なものとなって身についていくはずです。」

この言葉を受け、ワークショップ後も常に姿勢には気を配っている。「もっと長く、楽に走りたい」「もっと速く走りたい」「怪我なく走りたい」といった方は、是非とも一度参加してみてはいかがだろうか?きっと、その効果を実感できるだろう。

〜チーランニング・ワークショップ〜

講師:中島 貴裕(なかじま たかひろ)さん

実施日:不定期

実施場所:東京、名古屋、静岡 等(出張プライベートレッスンも受付中)

お問合せ:http://takahironakajimaster.wix.com/g-works/