レースレポート:伊南川100kmウルトラ遠足(2014)

■大会ホームページ http://www.kaiho.info/

■レース概要 福島県南会津郡を舞台とした、トレイルコースを含む100kmマラソン。

■レポート年 2014年


ウルトラマラソンにおいて、見知らぬ土地を訪れることに大きな魅力を感じている人もいるだろう。地元の方々との触れ合いや食べ物、観光、あるいは自然など、普段暮らしている環境と異なる場所を訪れることは、さまざまな発見や出会いがある。「伊南川100kmウルトラ遠足」は、まさにそんな魅力溢れるレースといえるだろう。制限時間も16時間に設定されており、多少走力に自信がないという方でもチャレンジ出来るのが嬉しい。

■移動と宿泊

写真 2014-10-17 9 47 36受付は伊南総合支所、スタート&ゴールは伊南小学校となっている。いずれも駅からは遠く、最も近い会津鉄道「会津高原尾瀬口」駅からでも、車で45〜50分程度かかる。

そのため、アクセスは同駅からバス(約1時間)を利用するか、タクシー、あるいはレンタカーを利用すると良いだろう。過去の大会参加者同士で、バスを手配しているケースも見られた。今回私も、知人からの誘いで東京駅発のバスに相乗りさせてもらった。

宿泊場所として、大きなホテルなどは無い。付近には民宿が点在しているが、宿泊可能な人数は限られているので、早めの手配が必要だ。大会案内の記載によれば、南会津町観光物産協会 伊南支部に連絡して宿泊先を手配してもらうことも可能。

もし離れた場所に宿泊する場合には、受付場所と宿泊先、そしてスタート&ゴール地点への移動手段も確保しておきたい。

■受付・スタート地点

写真 2014-10-17 14 46 07受付は前日・当日の両方で行っている。それぞれ場所が異なり、大会前日は14~19時に伊南総合支所、当日は3〜4時半にスタート&ゴール地点である伊南小学校だ。感覚的には前日に受付をするランナーが多いように思えたが、バスの到着が重なると長蛇の列ができていた。

前日受付の会場ではテントが張られ、ランニンググッズや地元特産品などの販売が行われている。受付時に1,500円分のチケットがもらえるので、このチケットで買い物をするランナーが多い。

受付会場には駐車スペースがあるため、車での移動も可能だ。受付会場からスタート&ゴール地点までは徒歩圏内なので、時間に余裕があれば場所を確認しておくと良いだろう。ただし、スタート&ゴール地点に駐車場は無いので、注意しておきたい。写真 2014-10-17 14 58 52

当日受付する方は、あらかじめ参加賞を受け取ることを想定しておこう。例えばほとんど荷物を宿に置いてレース用具だけを持ってくると、参加賞の多さにビックリすることになる。

写真にあるケーキ箱のようなものには、地元の特産品などがぎっしり詰まっていた。大きさも去ることながら、なかなかの重量感。走り終えてから抱えて宿に変えるのは、少々大変そうである。

■スタート前

受付で受け取る袋は、そのまま大会の預け荷物袋になる。ただし、これは中間地点へのドロップ用。もしゴール地点にも荷物を預けたい人は、別で何か袋などを用意しておかなければならない。ドロップ用荷物は最終的にゴール地点に届けられるので、よほど荷物が多くない限り、1つにまとめておいて良さそうだ。

尚、ドロップ用荷物とゴール地点用荷物は、預け場所が異なっていた。スタート前に焦らないよう、時間には余裕を持って行動したい。参加人数は350名とそこまで多くないので、混雑で時間がなくなるということはなさそうだ。

写真 2014-10-18 4 37 47ただし、トイレには注意したい。昨年までは小学校の体育館のトイレを利用していたようだが、今年はNGとのこと。代わりに仮設トイレが設置されていたが、その数は3台で男女一緒だった。参加人数から考えればお分かりの通り、トイレの前には列ができている。

受付が当日であっても、そこまでスタート前にやることは無い。宿泊先でトイレを済ませてから、あまり早すぎない時間にスタート会場へ到着するようにすると良いだろう。ただしコース上にはトイレが少ないので、特に女性は必ずスタート前に済ませておくことをお勧めする。

スタート時間が近づくと、アナウンスが始まる。主催者側からの挨拶などがあり、少しずつ会場も盛り上がってくる。スタート前に注意したいのが、「計測バンド」の装着だ。本大会ではK-SOKという計測システムが利用されており、タイム計測には専用のバンドが必要となる。これを忘れてしまうとタイム計測やチェックでのトラブルを招きかねない。ただし、もしレース中に紛失などした場合、口頭での記録で対応するとのことだった。

■コース

写真 2014-10-18 6 58 59コースの大きな特徴は、獲得2953mにも及ぶアップダウン。伊南小学校をスタート&ゴール地点とし、途中折り返し部分がある。コース上は、平坦路が稀と言っても良いだろう。

スタート地点の気温は3℃とのことだったが、走るたびに標高が上がっていく。時間が経てば普通は気温が上がってくるものだが、レース中は次第に気温が下がり、10km程を走った頃には氷点下にまでなっていた。そのため、防寒対策がとても重要になる。

トップ選手の中には半袖&短パンという姿も見られたが、多くのランナーはソフトシェルなどで寒さと風を凌いでいるようだった。何度も参加しているランナーであれば、ランニンググローブの着用さえ見られる。

中間地点にドロップ用荷物を運んでおけば、暑くなった際に上着などを脱ぎ捨てて荷物に入れてしまえるだろう。そのため、前半は温かさを優先にした方が良いかもしれない。特に走って体が温まるまで、この寒さはなかなか厳しいはずだ。 写真 2014-10-18 7 04 15

またコース上には、いくつものトンネルがある。これは、雪崩などを防ぐためのスノーシェッドと呼ばれるものだ。朝早い時間はまだ中が暗く、また道幅も狭い。 歩道が設置されているが、大人1人分の幅だった。車道を走るランナーもいるが、レース中は一般の方はもちろん、大会運営者の車も行き交う。何より安全を考えて通過したいポイントといえるだろう。

ちなみに、トンネルにはメリットもある。中に入ると寒い空気が遮断されるので、温かいのだ。もちろん出口が近づけば再び寒いのだが、ちょっとした癒しにも感じられた。このトンネルは、レースの前半・後半問わず何度も通ることになる。

30km地点のエイドまでは、緩やかなアップダウンが続いている。アップダウンとは言っても勾配は緩やかなので、そこまで気にせず走ることができるだろう。30km地点はチェックポイントとなっており、K-SOKで通過を確認される。

しかし30kmなど、100kmマラソンでは序盤に過ぎない。このレースには大きな山場が2箇所あるが、30kmから早くもその1つが訪れる。それが、「沼山峠」だ。30km地点のエイドを離れてすぐ、勾配がキツく舗装路など皆無の峠道へと入っていく。しかも、ここは国立公園の公道となっているため、なんと”ランニングNG”なのだ。そのため、速歩で進んでいく(中には走っているランナーも見られたが…)。

峠道については、実際の写真をご覧頂くのが一番良いだろう。全長6.5kmで高低差600mを登るコースとなっている。

写真 2014-10-18 10 30 35いかがだろうか。この峠山頂まで辿り着いて、やっと36.5kmだ。ランニングNGとは言われているものの、実際に入ってみると、そのほとんどは言われなくても走ることなどできない。さらに直前に訪れた台風、あるいは早朝から降りた霜の影響で足場もぬかるんでいた。

しかし峠さえ登り切ってしまえば、あとはしばらく長い下り坂が続く。しかも、舗装路である。 もちろんスピードを出し過ぎると、怪我や疲労の原因になるだろう。しかし下り坂では、疲れた脚でもなんとか前に進むことはできるはずだ。

実はこのコース、峠から見事な紅葉が見られる。しかし今回は台風で多くの葉が散ってしまい、峠ではあまり紅葉が見られなかった。残念に思っていたのだが、下り坂では写真の通り。落ち葉となった木はあるものの、見事に色づいた紅葉が目の前に広がっていた。

見事な紅葉を眺めながら、60km地点まではほぼ下り坂のみ。この下りを上手く走ることで、後半戦へ向けて脚を回復させられそうだ。せっかくなので、写真など撮って楽しむのも良いだろう。

写真 2014-10-18 10 39 18もう1つ、お勧めのスポットをご紹介しておこう。

50km地点のすぐ先に、山から流れ出る湧き水がある。ここでは、その湧き水を飲むことができるのだ。私は事前にパンフレットでそのことを知り、200ml用のボトルを持って行った。60km地点までの間に味わいながら飲ませて頂いたが、とにかく美味い。体の疲れ、そして周囲の大自然もあってか、澄んだ水が大きな癒しとなってくれた。

後ろから来たランナーも、私につられて水を飲んでいた。また、観光に来ていたという方も水を汲んでおり、実はちょっとした有名スポットなのかもしれない。追加の給水ポイントとして活用しても良いだろう。

53km地点が中間点としてチェックポイントとなっており、ドロップした荷物を受取ることができる。ここは、沼山峠に入る前に訪れたエイドだ。ここでもK-SOKで通過確認が必要となる。もし脚の痛みや大きな疲労があれば、ここでしっかり休憩を取っておくのも1つの手だろう。なぜなら60kmからは、第2の山場が訪れるのだ。

写真 2014-10-18 11 46 16第2の山場は、10km続く登りのロードコース。平坦や下りはほとんど無い。60km走った後の長い登り坂は、多くのランナーを苦しめることだろう。人や車の通りも少ない区間だ。

この登り坂を越えると、再び下り坂となる。そのため、場合によっては無理せず、歩いて進むのも良いだろう。上位のランナーでも、歩いている姿が見られた。暫く走るとつづら折り状になってくるので、コース取りも疲労をためずに進むためのポイントとなる。

またペースによっては、この頃から周囲が暗くなり始めるだろう。しかし街灯は無く、日が沈めば真っ暗闇になる。 そのため、明るいうちに通過する自信が無いという人は、必ずヘッドライトを持っておきたい。この登り坂に限らず、コースは全体を通して明かりが少ないのだ。暗闇でのレースは、障害物との接触など思わぬ怪我を招きやすい。

写真 2014-10-18 15 24 40 コース上は、5km毎に距離表示が設置されている。また、間違いやすい分かれ道などにはコース表示があるので、迷うことは少ないだろう。

また距離表示は、終盤になるとカウントダウン式になる。写真はラスト2km地点のものだ。ちなみに写真を見るとお分かりの通り、最後にもちょっとした難所として砂利道があった。1km程の砂利道だが、足場が悪くて走りづらいので、無理せずに進みたい。夜になってしまったら、躓かないように慎重に走ろう。

砂利道を抜けると、目の前に見慣れた光景が広がってくる。いよいよ、ゴールが近づいてきているのだ。コース全体を通してあまり人が多いわけではないが、ところどころ、地域の方々から応援の声を掛けてもらうのは嬉しかった。ゴールが近づくと、近所の方や他のランナーが応援に出ている姿も見られる。

写真 2014-10-18 15 38 00ゴールはスタート地点と同じのため、近くに来ればすぐに分かるだろう。ゴールするランナー1人1人に、「おかえりなさい!」とアナウンスの声が掛けられた。小学校に入れば、数十m先にはゴールゲートが待っている。

ゴールゲートでは、全員のゴールシーンをカメラマンが撮影していた。すぐにK-SOKでゴールチェックを行い、レースは終了。多くのスタッフや完走者、また家族など応援に訪れた人々が、ゴール地点に見られた。

預けた荷物は、小学校の体育館で受け取れる。特にスタッフさんが誘導するわけではなく、体育館内に番号順で並べられていた。この中から、自分の荷物をピックアップするというわけである。そのため、貴重品などはくれぐれも預けないようにしたい。

全体を通じて、やはりアップダウンが激しく、非常に過酷なコースと言えるだろう。しかしそれ以上に、ランナーを迎えてくれる景色は素晴らしかった。ファンランであれば、是非ともカメラを片手に走って頂きたい。

■エイド

写真 2014-10-18 10 57 42 エイドは、約5km毎に設置されていた。ただし36.5km地点の沼山峠からは10kmの間エイドが無いので、不安な人は水分などを持っておくと良いだろう。 各エイドでは、次のように充実した飲食物が用意されていた。 <飲み物>

  • スポーツドリンク
  • コーラ など

<食べ物>

  • おにぎり
  • 梅干し
  • トマト
  • お菓子
  • レモン
  • バナナ
  • オレンジ など

写真 2014-10-18 10 57 34さらに中間点である53kmエイドでは、豚汁が食べられた。寒い中のレースであるため、温かい豚汁はまさに癒しに感じられるだろう。「汁多め」など、細かな要望にも応えてくれるのが嬉しい。また、全ランナーが食べられるようにと、量もたくさん用意されていた。

私はエナジージェルを数本とサプリメントを持っていったが、実際に使ったのはアミノ酸系のサプリ1本のみだった。全体的に食べ物や飲み物は充実しているので、特に補給食など持参する必要はなかったといえるだろう。不安であれば多少持って行っても良いが、100kmという距離を考えると、この大会では軽量をメインに考えても良さそうだ。

また53km地点のエイドでは、ドロップした荷物が受け取れる。着替えや補給食の補充、あるいは日焼け止めやワセリンの塗り直しなど、上手に使うことでレースが楽になるはずだ。もし使わなくても、そのまま返してゴール地点まで運んでもらえば良いのだ。

■その他

写真 2014-10-18 16 37 15<温泉>

ゴール地点から500m程の場所に、「赤岩荘」という温泉がある。レース後の疲れを癒やすためには、最高のスポットだろう。民宿の場合はお風呂が大きくないため、たくさんのランナーが宿泊していると、走り終えた後になかなか風呂に入れないということもある。

走り終えると入浴割引券が頂けたので、多くのランナーが利用しているようだった。もちろん、大会本番に向けて前日に入るのも良い。

また、中ではビールを飲んだり、食事をしたりすることもできる。さらに休憩室があるので、湯冷めしないよう少し休んでから出て行くのも良いだろう。地元の方も多く、会話を楽しむこともできた。ただし、特にレース終盤になるとランナーが次々とゴールするので、温泉も混雑が予想されるので注意したい。

<あゆまつり>

写真 2014-10-19 10 00 15レース翌日、先にご紹介した「赤岩荘」の近くで、「あゆまつり」が開催されていた。 「あゆまつり」では、次のような飲食物が販売されていた。

  • 天然の鮎の塩焼き
  • 豚バラ串
  • 蕎麦
  • ビール
  • ジュース など

その他、土産物やスポーツ用品などの販売が行われており、多くの人々が集まるイベントだ。周囲を見渡すと、伊南川100kmウルトラ遠足に出場したランナーの姿もたくさん見られた。

ちなみに、受付時にもらえた1,500円分のチケットは、この「あゆまつり」でも利用することができる。チケットは500円分を3毎綴りになっており、ビールがちょうど500円。これだけでも、存分に楽しめそうだった。