レースレポート:万景台賞国際マラソン大会(平壌国際マラソン)2014

■レース概要
朝鮮民主主義人民共和国で開催されている国際大会。27回目の2014年大会から、海外のアマチュアランナーの参加が可能になった。2014年大会で、日本人参加者はただ一人。尚、第27回大会の様子はYouTubeでも観ることが出来る。

■情報提供者
小島 健則さん

■レポート年
2014年


北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の首都である平壌。そこで開催されているのが、万景台賞国際マラソン大会だ。これまではプロランナーのみが参加できるレースだったが、2014年からアマチュアも参加が可能になった。さらに同年より、フルマラソの他にハーフマラソンと10kmの部が設けられている。

<レース前>
平壌国際マラソン2レース当日の朝は、気温10度程で少し肌寒い。小島さんは開会式までの時間、Tシャツを1枚余分に着込んで待ったという。手作り感のあるゼッケンはまっすぐに切られておらず、ピンも抑え部分が弱いのですぐに外れてしまう。レース中にゼッケンが取れてはいけないので、注意が必要だ。

この大会ではプロとアマチュアとでランナーを区別している。海外からは、プロ招待選手としてケニアやエジプト、マダガスカルなどから15名程度が参加。その他、北朝鮮の選手が50人程いたとのこと。アマチュアランナーでは、フルマラソンに約70人、その他のハーフマラソンや10km、さらに地元の小中高生が出場するジュニアの部を合わせて、総勢700人程の大会となった。

キムイルソン・スタジアムに4万人以上もの人々が集まり、大きな拍手を浴びながら入場行進。その様子は、「まるでオリンピックのようだ。」と感じたという。

<レースについて>
名所が連なる市内の中心コースは、「走っていて飽きることがなかった」という。

平壌国際マラソン1

スタート&ゴールは金日成競技場。スタート直後は、後ろからスタートする子供たちが凄い勢いで、自分の横をぶつかりながら飛び出していったという。その数は、約300人。「ペース配分もしないで、最初だけ飛ばすのだろう」と思いきや、10km地点までに3人しか追い抜くことができなかった。

スタジアムから外を出ると、そこにはパリよりも大きいと言われている凱旋門がそびえる。それを横切ったら、後は軽いアップダウンの繰り返しだった。それほど苦になるアップダウンではないものの、レース後半になってくるとジワジワとこたえてきた。

ちょうど桜の咲く良い季節で、街が美しい。川を渡って戻ってくると、今度は小さな山の下のトンネルをくぐる。「途中から日が射してきて少し暑くなりましたが、トンネルが長い下りになっているので涼しいんです。そこで冷却して、息を吹き返すことができました。」と小島さん。とても変化に富んだコースのようだ。

沿道には、応援の人々が多かった。

「応援の人たちはシャイで、あまり声を出す人はいないです。だけど、恥ずかしそうに手を振って微笑んでいて、こちらも手を振るとみんな喜んでくれる。子供たちから、おじいちゃんおばあちゃんまで。大会に派手さは無いものの、恥ずかしがりな地元の応援の方々と笑顔を交わし合いながら、元気をもらって楽しく走ることができました。」

レースを通じて、地元の人々の温かさを感じられたようだ。

給水所は5km置き。ただし補給食はないので、持参する必要がある。尚、最後の給水所からゴールまでは距離が長く、小島さんは喉が乾いてしまったとのこと。気温などにもよるが、必要に応じた装備チェックが重要になりそうである。

平壌国際マラソン3

そんなコースを4周し、最後は大観衆が待ち受けるスタジアムでゴールする。ゴールの瞬間は大勢からの拍手に見守られ、一気に大歓声があがった。「スターのような気分だった」という小島さんだが、実はランナーに向けられた歓声ではない。スタジアム内ではサッカーの試合が開催されており、その瞬間は、ちょうどゴールが決まったシーンだったようだ。それでも、観衆に自分から手を振ると応じてくれる。「待ち時間にサッカーの試合をして退屈させないのは、グッドアイデアだと思います。」という小島さん。確かにランナーが帰ってくるまでの数時間は、観衆にとって単なる“待ち時間”になってしまう。こうした工夫は、ランナー以外への配慮として嬉しいだろう。

<レースを終えて>
「ゴール後、すぐに共同通信の記者やカメラマンに囲まれてインタビューが!予想外な展開に、驚きました。これだけの大観衆の中を走る機会ははなかなかないないので、興味のある人は来年ぜひ。オススメです!」