「もう、100kmじゃ物足りない!」|近藤 みづき

近年、全国的にさまざまなマラソンレースが開催されています。ハーフマラソンやフルマラソンは誰もが知るところですが、世の中には「ウルトラマラソン」というレースがあることをご存知でしょうか。ウルトラマラソンとは、42.195kmを超える距離を走るレースの総称です。70kmや100km、中にはさらに長い距離を走るレースもあります。

「100kmとか、なんでそんなに走るの!?」

なんていう声が、多くの方々から聞こえてきそうです。そんな中、ウルトラマラソンにすっかり魅了され、ラン歴4年にも関わらず、数々のウルトラマラソンを走る女性ランナーがいました。それが、近藤みづきさんです。

■走り始めたキッカケは“ダイエット”

青空「ダイエットのためにランニングを始めた」という方は、恐らくとても多いことでしょう。近藤さんも、キッカケは同じでした。社会人になってからお酒を飲む量も増え、いつの間にかすっかりぽっちゃり体型に。ダイエットしょうと思い立ち、ランニングを始めたのは2010年のことだったと言います。

「2010年12月に、奈良マラソンで初めてフルマラソンを走りました。」

ほどなくマラソンデビューした近藤さん。その後、加速的にウルトラマラソンへとハマっていくことになります。

「フルマラソンを走った後、トレイルレースにもチャレンジしてみたんです。そしたら楽しくて、『もっと勉強したい』と思い、ハセツネ安走会へ参加。2011年に、ハセツネCUPに出場しました。これが、初めでのウルトラマラソンです。」

ハセツネCUPはロードではなく、山を走る山岳耐久レース。そんな過酷なレースをウルトラマラソンのデビューに選ぶとは、この頃から他のランナーとは一線を画していたのかもしれません。(ハセツネCUP→71.5kmの山岳耐久レース)

■もう、100kmじゃ物足りない

そんな近藤さんは、その後も数々のウルトラマラソンに参加。ハーフマラソンやフルマラソンも走ったことはありますが、既にウルトラマラソンの方が出走回数が多いとのこと。

ストレッチ「フルマラソンやハーフマラソンは、どうしてもスピードレースになるため、ギラギラした雰囲気が少し苦手なんです。それに対してウルトラマラソンは、人との触れ合い(ランナー、運営スタッフなど)も楽しめるのが良いですね。」

確かにウルトラマラソンは、フルマラソン等と比べて走るペースが遅くなります。そのため、走りながら練習同士が会話したり、エイドで運営スタッフとのコミュニケーションを楽しむ姿も珍しくはないでしょう。

「そうしたら、今度はもう100kmじゃ物足りなくなってしまって(笑)もっと長いレースに出たい!って思うようになっていったんです。たぶん感覚的には、140〜150kmくらいがちょうど良いかな。」

あまりに長くなると、むしろ人と会う機会すら減ってきます。しかしそうなると、今度は人に会えるということそのものが感動に繋がるというのです。さらにウルトラマラソンの魅力について、近藤さんはこう語ってくれました。

HOKA one one「ウルトラマラソンは、考える時間にもなります。フルマラソンでは、ゼーゼー息が上がってしまい、頭の中なんて真っ白ですけどね。何にも邪魔されることなく、自分自身の棚卸しができる。これって、凄く貴重な時間じゃないかなって思います。」

話を伺っていると、とにかく走ることが好きなのだと感じます。しかしそんな近藤さんも、走ることを止めようと思うことがあるのだそうです。

「しょっちゅう思いますよ。特に怪我をしたり、低体温症でリタイアしてしまったりすると…。誰に何を期待されているわけでもないのですが、勝手に『結果を出さないと!』と思い込んでしまっているんですよね。それにこれだけ多くのレースに出ていると、周囲からも『完走は、できて当たり前』と思われているようで…これが、ちょっとプレッシャーになることもあります。」

■いつもは普通の会社員

近藤みづき

シーズンになると、毎週のように各地のレースへ出場するという近藤さん。しかし彼女は、なにも走ることが仕事ではありません。いつもは、東京都内の会社に通うOLなのです。貿易事務をしているということですが、マラソンを続けるに当たって工夫していることを伺いました。

「月曜日は、物理的に無理(遠方レースで帰って来られない等)でない限り、休みません。そして、疲れを仕事に持ち込まないように意識しています。まぁ、実際には気づかれているんですけどね(笑)しかしそうしていくことで、少しずつ職場からも理解を得られるようになりました。」

たくさん走るからこそ、その分だけ仕事も全力で取り組むという近藤さん。しかし、基本的に仕事はいつも忙しいとのこと。それでもランニングを続けることによって、

  1. 仕事を頑張る
  2. 走ることも頑張れる

という好循環ができているようです。

「辛いレースを乗り越えると、『あのレースに比べたら』と仕事も頑張れます。そして仕事で困難に遭っても、それを乗り越えれば『レースだって頑張れる』と思えるんですよね。仕事ありきのマラソンですから、良い形で回っていますよ。」

そう語る表情は、実にイキイキとしていました。

■これまで、そしてこれからのチャレンジ

桜田門これまで出場した中で一番辛かったレースは、2014年に出場した『沖縄本島1周T.O.F.R』とのこと。これは3日間かけて沖縄本島をぐるっと1周(約295km)する、ステージレースです。実際には完走することが出来ず、また初めて胃腸に影響が出たとのことで、心身ともに大変だったことが分かります。

「でも、楽しいんですけどね。また走りたいと思いますよ。」

そんな近藤さんには、目標とするレースがあります。それは、『さくら道ネイチャーラン』。国外からも参加者が訪れる、ウルトラマラソンの中でも最高峰と言える国内レースの1つです。そのために、これからも走り続けていきたいという近藤さん。

「走ることは、40〜50歳になっても続けていきたいですね。」

実は走ることの他に、ベリーダンスにも挑戦してみたいとのこと。近藤さんならば、きっとベリーダンスもトコトン追求して楽しんでいくのでしょう。

■近藤さんにとって、“走る”ということは?

最後に、“走る”ということについてメッセージを頂きました。

ランニング「走ることで出会った人々との繋がりは、何よりの財産になります。ランナーには、とにかく前向きな人が多いんですよね。とにかくポジティブで魅力的。そんな人達と、いつまでも一緒にいたいと思っています。周りが頑張っているからこそ、私も頑張れるんです。“走る”ということは、私が自分らしく居続けるために、とても大切なことなのだと感じています。」

言葉の1つ1つから、いかに近藤さんが走ることを楽しんでいるのかを感じます。次は、一体どんなレースにチャレンジしていくのか?これからの近藤さんに、是非注目していきたいですね。