社会人になったら、もっといっぱいレースに出たい!|岡田 果純

昨今は30代を中心としてランナー人口が増え、もはや流行を通り越し、1つの文化が生まれつつあります。10kmやハーフマラソンであれば学生の参加者も多く、少し年齢層は下がるでしょう。しかしフルマラソン以上になると、まさに“大人のスポーツ”と言っても過言ではない状況です。

そんな中、大学生にしてフルマラソン、さらには7日間で250kmを走るアタカマ砂漠マラソンまでを走破した女性がいました。それが、今回お話を伺った岡田 果純さんです。

彼女は、なぜマラソンを走ることになったのか?

これからどんなランナーを目指していきたいのか?

そんな学生ランナーの“本音”をご紹介しましょう。

■普段は一応大学院生

IMGP0844岡田さんは、新潟大学大学院に通う学生です。大学院では自然科学研究科に所属し、高分子化学に基づく『磁石にくっつくプラスチック』の開発に取り組んでいます。

「金属の代替物として、環境にやさしいプラスチックの応用は医療分野にも活用が期待できます。スマートフォンの画面も、導電性のあるプラスチックなんですよ。」

非常に難解なテーマではありますが、そう話す岡田さんの瞳は真剣さが溢れていました。30年近くも続いているというこの研究。興味を持つキッカケは、高校で学んだ化学にあったと言います。

「高校で習った化学が面白かったんです。新しいものを作り出すことに興味が湧いて、最初は薬をつくりたいと思いました。しかし今の研究も、根底は同じです。想像以上に大変で、根気が必要ですけどね。」

IMGP0838そんな岡田さんも、来年からは社会人になります。就職先について、

「来年から、医療機器メーカーの営業職として働きます!」

と教えてくれました。実は今回の取材も、たまたま就職先の内定者会で東京へ訪れていた際に時間を頂いた経緯があります。

実は小学生の頃から、後天的に1型糖尿病を患っている岡田さん。しかしその経験を前向きに捉え、これから社会人として働きやすい環境を作るために、患者会などで講演を行っていると言います。その前向きな姿勢は、社会人にもなかなか真似できるものではないでしょう。

「経験や体験を、自分だけに留めたくなく」

という思いから、自らの道を切り開いているのです。

■フルマラソン出場のキッカケは家族

10581684_665463216883884_631506787_o初めて“マラソン大会”に出場したのは、小学生の頃に行われた市内のマラソン大会だったという岡田さん。大会に向けて、お父さんと毎晩2〜3kmのランニングに取り組んだと言います。

「練習は嫌いだったんですが、上位入賞するとお米がもらえたんです。これが、一番のモチベーションでしたね。完走後にもらえる、おにぎりも美味しいんですよ。」

魚沼産コシヒカリに代表されるように、米どころとして知られる新潟ならではの賞品です。しかしその後、陸上部などに所属はしませんでした。中学校ではバスケ部、そして高校では男子バスケ部のマネージャーを務めた岡田さん。しかしマネージャーの経験から、競技ではなくサポートする側の楽しさを知ったそうです。

そんな中、高校で行われた約5kmのマラソン大会では、再び上位を目指しました。

「進学校だったので、上位を狙えるのではと思ったんです。頑張ってみたら、3年生で学年1位になれました。」

20位以内に入ると、顧問からラーメンを奢ってもらえたそうです。食べ物がモチベーションになったことは、小学生の頃と同じ。しかし何よりも、岡田さんにとって“運動が楽しい”と感じられることが、一番の力になったのではないでしょうか。

大学生になって、ダンスサークルに参加。しかしアルバイトが楽しくなってしまい、すぐに辞めてしまいました。そんなとき、お母さんから運命的な一言が届きます。

「運動した方が良いよ。コスプレマラソンに、一緒に出よう」

この誘いにのった岡田さん。それが、小布施見にマラソンでした。小布施見にマラソンでハーフマラソンを完走すると、再びお母さんからこんな誘いが。

「ハーフマラソンを走れたんだから、フルマラソンを走ってみようよ」

10550381_665463213550551_606538340_o大学生にとって、フルマラソンの出場費は安い金額ではありません。しかしお母さんがエントリー費を出してくれたため、遂に初のフルマラソンを完走しました。そのときのことについて、岡田さんは次のように教えてくれています。

「25km当たりで、お腹が減ってきちゃったんですよ。そしたら、お母さんが“ゆかりおにぎり”をポケットから出してくれました。これが、ものすごく美味しかったのを覚えています。感動しましたね。」

ゴールでは、大学の先輩がスタンドから応援してくれていたそうです。これも印象的で、マラソンにエントリーする際、いつも思い出される記憶だと言います。それから程なくしてアタカマ砂漠マラソンにも挑戦することになりますが、マラソンを“楽しい”と感じた岡田さんにとっては、必然的なことだったのかもしれません。

初めてフルマラソンを完走してから、ちょっとした変化が訪れました。それは、周囲から「自分もマラソンをやってみようかな」という声が聞こえ始めたのです。特に研究室の仲間を中心として、その人数はどんどん増えていきました。

「大学4年生のとき、初めてフルマラソンを走る男子と一緒に走って、ゴールしました。初完走の喜びを共有できたことは、本当に嬉しかったです。」

そんな岡田さんは、定期的に走っているわけではないそうです。レースを決めたら、そこに向けて準備します。この、あまり自分を追い込み過ぎないことが、マラソンを楽しむための秘訣なのかもしれません。

■これからの目標

IMGP0860そんな岡田さんに、これからの目標を聞いてみました。

「社会人になったら、いっぱいレースに出たいです。サロマ湖や飛騨高山、美ヶ原など、出てみたいレースはたくさんあります。今は近隣のレースばかりですが、日本中、そして海外のレースにも出てみたいですね。」

フルマラソンでも、4時間を切ってみたいという岡田さん。これから社会人になると忙しさも増しますが、走ることは続けていきたいと話してくれました。

大学生としてマラソンを走るうえでは、費用的な面がどうしても枷になりがちのようです。しかし社会人になれば、仕事を頑張ることでこれまでよりもっと可能性が広がります。もちろん時間的な制約が伴うでしょうが、岡田さんならばそれすらプラスに転換し、1つ1つ目標をクリアしていくことでしょう。

■メッセージ

最後に、これから走ろうとする人、あるいは同じ学生の方々に向けてメッセージを頂きましたので、ご紹介します。

「やってみたいと思うことは、とにかくやってみたら良いと思います。失敗は、決してネガティブなことではありません。例え何かが出来なければ、それが出来ないということが分かるだけでもプラスなはずです。ランニングなら、まず1kmでも2kmでも良いから走ってみる。小さくても、スタートすることが大切だと思います。やってみなければ、何も分かりませんから。自分でできなければ、仲間を呼べば良い。どこかに、同じことを考えている人がきっといるはずです。どんなに大きな一歩も、小さな一歩の積み重ねでしかありませんから。」